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  アスベストとは
アスベストは石綿とも呼ばれ、綿のように柔らかい天然の鉱物繊維です。鉱物であるアスベストには、耐熱性・耐薬品性・絶縁性といった性質があります。これらの優れた性質から、アスベストは建材から家庭用品にまで幅広く利用されてきました。しかし、アスベスト繊維がじん肺やガンを引き起こすことが医学的に明らかになってきたため、アスベスト製品の製造禁止や建築物解体時の対策などが法律で規制されるようになりました。現在では新しいアスベスト製品が世に出ることはないため、今後はすでに世の中にあるアスベストを調査・測定し、適正な対処をしていくことが必要とされています。

 →アスベストの物理化学的性質一覧
クリソタイルの鉱物標本
クリソタイルの鉱物標本
 
 
  鉱物学上のアスベスト
アスベストとは、天然に産する鉱物群のうちで高い抗張力と柔軟性を持つ繊維状鉱物の集合(asbestiform)の俗称です。アスベストとされている鉱物は6種類あり、大きく蛇紋石グループと角閃石グループに分かれます。右図はその詳細になります。蛇紋石グループと角閃石グループでは結晶の基本構造は異なりますが、両者とも微細な繊維組織を持っています。
アスベスト分類図(クリックすると拡大します)

(クリックすると拡大します)
  
 
アスベストの危険性は、鉱物それ自体に毒性があるのではなく、その微細な繊維状の形態にあるとされています。微細な繊維が人体内の器官深部に到達することで、肺がんや悪性中皮腫などの原因となると言われています。

右図に示したのは、走査型電子顕微鏡で撮影したアスベスト含有吹付け材の二次電子像です。写真左上から右下にかけて存在する繊維状物質がクリソタイルです。鉱物繊維が細かく裂けている様子が観察できます。なお写真中央部に存在する黒っぽい繊維状物質は、繊維状のガラス物質で、ロックウールと呼ばれる人工繊維です。
クリソタイルのSEM写真
 
 
  アスベストの分析方法
 
アスベストは鉱物であるため、その分析調査には岩石学的な手法が取られています。現在のJISでは、X線回折装置による分析と位相差顕微鏡による分散染色法の併用が主な手法となっています。

◆X線回折装置による分析
鉱物にX線を照射すると、結晶の格子面でX線が散乱します。このうちブラッグの条件式(2dsinΘ=nλ d:格子面間隔、Θ:格子面に対するX線の入射角、λ:X線の波長、n:正の整数)を満たす場合は強い回折ピークが観察されます。X線回折スペクトルは鉱物により固有であるため、鉱物の同定に利用されます。分析で実際に得られるスペクトルは、試料に含まれる全ての構成鉱物のスペクトルが重なったものになるので、鉱物種ごとに特徴的なピークから含まれている鉱物を判断していくことになります。このため、鉱物の同定作業には鉱物学の専門知識が必要不可欠です。


 →X線回折装置によるアスベストのX線回折スペクトル
 

◆位相差顕微鏡による分散染色法
鉱物をそれとほぼ等しい屈折率を持つ浸液に浸し、顕微鏡の分散染色型対物レンズを通して観察すると鉱物が発色します。これを分散染色と言いますが、この発色は化学的な染色ではなく、物理的(光学的)な発色です。鉱物の屈折率はそれぞれ異なるので、使用する浸液の屈折率を調整することでターゲットとなる鉱物を選ぶことができます。しかしながら、特に組成に多様性を持つ鉱物においては、屈折率に微妙に幅があります。このため、分散染色の様子は必ずしも一様ではありません。こういった側面から、顕微鏡による観察は経験やスキルを求められる手法だと言えます。


 →分散染色法によるアスベストの顕微鏡写真

 
  建材としてのアスベスト
    アスベストはその特性から多岐に渡って使用されてきました。
    そのおよそ9割が建材としての利用です。具体例を以下に列挙します。

     ◆吹付け材(ビルや駐車場などの鉄骨等)
     ◆保温材(ボイラー周辺等)
     ◆石綿スレート類(工場・住宅の壁や屋根等)
     ◆押出成形セメント板(工場・住宅の壁や屋根等)

    これらの建材以外にも、世の中には多くのアスベストが存在します。
    怪しいと思っても、決して自分で触れたりしないでください。必ず関係機関に相談し、適切な対処をしてください。
 

   参考文献:「アスベスト -ミクロンサイズの静かな時限爆弾-」 岩石鉱物科学編集委員会編

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